京マチ子さんの思い出

京マチ子さんがお亡くなりになった。95歳であったそうだ。1999年に放映された『元禄繚乱 』という大河ドラマの出演者インタビューを担当した時、京マチ子さんにお話をうかがうチャンスがあった!京マチ子さんクラスになるとマネージャーなんかではなく、東宝の社長なる人物が付き添っていた。NHKの食堂で会った。20年前のことだから、京マチ子さんは当時75歳。とてもそうは見えないと言っては失礼になるかもしれないが、年齢相応というべきか、たおやかで凛とした美しさに満ちていた。インタビュアーである私はある編集プロダクションの担当女性編集者と出版元であるNHK出版の担当者と、さらには例の東宝社長と京マチ子さんをかこんでいた。簡単な挨拶をすませたのち、インタビューを開始した。ところが、あまりにも偉大な方だったので、スムーズに言葉が出てこない。そうした様子を見かねたのだろう。同席した女性編集者が突如口を開いた。「京さんってほんとお美しい!お化けみたい!!」その瞬間、その場の雰囲気が凍りつくのがわかった。出版社のスタッフや同行した東宝社長の表情がこわばるのごわかった。言うに事かいて「お化けみたい!」は無いだろう?!  私はパニックに陥ってしまった。その時、京マチ子さんが突然「あははは、やだ、この人ったら...」とさも楽しそうに婉然とお笑いになった。その態度を見て、社長も出版社スタッフも、一瞬にしてほぐれて楽しい雰囲気の中で取材を続けることができた。京マチ子さんは人の言葉尻を捉えて敏感に反応するような小人物ではなかった。もっとおおらかでゆったりした心根の方であった。それだからこそわが国を代表する大女優となられたのだろう。私の母も京さんより2つ歳下で昨年の夏みまかったが、当時はそんなに歳が近いとは思わなかった。京さんが若く見えていたのだろう。それにしても、京さんの

笑顔にはその場に居た皆がすくわれました。有難うございました。改めて

ご冥福をお祈りしいたします。